関東私鉄しりとり&サイコロの旅  第13回 


 2012年12月6日(木)、前日に埼玉県まで出かけて大いにくたびれ、遅く起きだして洗濯機を回す。どう考えても休養日だが、師走とはよく言ったもの。諸々の用事が重なって、今日を逃すと年内にしりとりをする機会がなくなってしまう。既に午後だが、出かけるとしよう。上手くすれば、上手くするかもしれない。


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
日暮里 → 高田馬場 JR山手線 各駅停車 内回り 13:45 14:00
高田馬場 → 鷺ノ宮 西武新宿線 急行 拝島 14:05 14:13
鷺ノ宮 → 西武柳沢 西武新宿線 各停 田無 14:14 14:27


 冬の日差しは弱く、高田馬場で西武新宿線に乗り換える頃には既に夕刻の気配が漂っていた。急行電車の車内には午後ののんびりした空気が流れている。もっとも、背後の赤ちゃんのご機嫌は随分斜めだ。車両は2000系原型車。警笛は空笛のみのようで、それだけでももはや随分古めかしく感じる。車内には本川越駅に副名称が付いた旨の中吊り広告が下がっている。「時の鐘と蔵のまち」。少々長すぎる。

 鷺ノ宮で各停に乗り換えると、こちらは新2000系。更新工事が行われたようで車内は真新しい。もっとも、足元から聞こえてくるサウンドから察するに、VVVF化は見送られたようだ。こちらにはとしまえんの中吊り、イメージキャラクターは小島よしおである。相変わらず微妙にずれたポイントを巧みに突く遊園地である。途中、上井草の発車ベルは近在の制作会社にちなんでガンダムのテーマになっており、サビ終わりのタイトルコールと同時にドアが閉まる。なんか、格好良い。

 武蔵関の桜並木はすっかり葉を落とし、すっかり晩秋の装いとなっている。まもなく目的地。自動放送が駅名を告げる。「まもなく、せいぶやぎさわ−」

 …あれ?


あいおい → いけのうえ → えだ → だいじんぐうした → だいやむこう → うえの → のうけんだい → いくた → だいたばし → しばさき → きたいけぶくろ → ろくごうどて → てんのうちょう → うすい → いずみ → みずほだい → いえなか → かぞ → ぞうしき → きたかすかべ → へみ → みなみくりはし → しいなまち → ちとせふなばし → しずわ → わかばだい → いけじりおおはし → しもやまぐち → ちとせからすやま → ますお → おおもりまち → ちちぶ → ふくい → いずみたまがわ → わいあーるぴーのび → ひがしこいずみ → みなみさくらい → いたくらとうようだいまえ → えそじま → まくはり → りゅうまい → いおぎ → きたみ → みなとちょう → うのき → きざき → きよせ → せんげんだい → いけがみ → みたかだい → いしかわだい → いなぎ → きたかぬま → まちや →
55駅目
西武柳沢   せいぶぎさ   (西武鉄道新宿線 / 東京都西東京市)
西武柳沢駅舎 西武柳沢駅名標 西武柳沢


 駅名標を確かめて、暫し憮然とする。「やなぎさわ」じゃなかったのか…。

 本企画に使用している駅名リストはネット上その他から拾ってきたものではなく、自分でちまちまと制作している。全駅の正確な読みなど把握できているはずもないから、間違えそうな駅名はWikipedia等を参照したが、全駅をしっかり確認したわけではないので、やはり誤読が生じてしまった。

 さてそうなると、前回の選択肢リストは間違いだった事になる。西武柳沢は本来、八木崎と柳生の間に2として入れるべきだったのだ。5は柳沢ではなく京成の谷津。さてどうしたものか、と悩むが、現地まで来てしまった以上仕方がない。柳沢からしりとり続行とする。地元で済んだものをわざわざ西東京まで来たのだから、得はしてない、という事にしておく。

 対向式のホームはごく普通の郊外駅の雰囲気だが、屋根から吊り下がった方面表示が中々ふるっている。「西武遊園地(多摩湖)」「西武園(ゴルフ・競輪場前)」とレジャー一色だ。狭山丘陵開発に社運をかけた西武鉄道の、一昔、いや二昔前の熱気を感じる。駅前に出ると、目抜き通りの両側に都営団地が聳え建っているが、1Fに入居したテナントとコンビニの他に商店は見当たらない。西武独特の電車の接近を告げる電子音や、駅の放送が駅前まで響いている。他に音を発するものがないのだ。静かな駅である。

 駅前には、壮大な名前の割にはこの界隈でしか見かけない関東バス(宇都宮の同名バスとは別会社らしい)が乗り入れている。緩い下り坂の先には青梅街道と石神井川。いかにも武蔵野の光景である。今は「西東京市」などという正体不明な地名となってしまったが、傍らの電柱を見れば、どうやら元は保谷市らしかった。


56駅目の選択
駅名 会社 路線
若葉 東武 東上本線
和光市 東武 東上本線
鷲宮 東武 伊勢崎線
和田町 相鉄 本線
渡瀬 東武 佐野線
ゴール


 白状すれば、谷津に戻らず柳沢に留まった大きな理由がこの選択肢である。通算3度目の「わ」。とうとう6にゴール駅が出た。訪問駅も延べ50を越えている。もう終わっても良いだろう。6、カモーン!


サイコロ4  → 4 和田町


 勿論世の中甘くはない。しりとりはまだまだ続くのだ。


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
西武柳沢 → 上石神井 西武新宿線 各停 西武新宿 14:54 15:00
上石神井 → 高田馬場 西武新宿線 急行 西武新宿 15:02 15:15
高田馬場 → 新宿 JR山手線 各駅停車 内回り 15:21 15:25
新宿 → 横浜 JR湘南新宿ライン 快速 平塚 15:30 16:00
横浜 → 星川 相鉄本線 快速 湘南台 16:05 16:09
星川 → 和田町 相鉄本線 各停 湘南台 16:10 16:12


 新宿への帰りはスマイルトレインから20000系への乗り継ぎ。西武も随分車種が増えたものである。今日は横着して高田馬場から新宿まで山手線でつなぎ、湘南新宿ラインで一気に横浜を目指す。渋谷で右翼が「天皇陛下をお助け下さい」とか何とかがなっている。いかにも大都会らしい混沌だが、何だそりゃ。

 案外スピードの上がらない新幹線との並走を眺めつつも、大半は眠ってしまい、気がつけばもう東神奈川だった。目指す和田町は横浜からすぐだが、やたら細かい緩急接続を組む相鉄らしく、星川までは快速利用となった。高架工事区間をうねうねと徐行し、スピードの上がらぬまま和田町到着。


あいおい → いけのうえ → えだ → だいじんぐうした → だいやむこう → うえの → のうけんだい → いくた → だいたばし → しばさき → きたいけぶくろ → ろくごうどて → てんのうちょう → うすい → いずみ → みずほだい → いえなか → かぞ → ぞうしき → きたかすかべ → へみ → みなみくりはし → しいなまち → ちとせふなばし → しずわ → わかばだい → いけじりおおはし → しもやまぐち → ちとせからすやま → ますお → おおもりまち → ちちぶ → ふくい → いずみたまがわ → わいあーるぴーのび → ひがしこいずみ → みなみさくらい → いたくらとうようだいまえ → えそじま → まくはり → りゅうまい → いおぎ → きたみ → みなとちょう → うのき → きざき → きよせ → せんげんだい → いけがみ → みたかだい → いしかわだい → いなぎ → きたかぬま → まちや → やぎさわ →
56駅目
和田町   だま   (相模鉄道本線 / 神奈川県横浜市保土ヶ谷区)
和田町駅舎 和田町駅名標 和田町


 相鉄の二俣川より手前の駅は大体そうだが、帷子川に沿った谷底になんとかこしらえた感のある小さな駅である。ホームの狭さは恐らく相鉄一で、駅名標はCI化後の新タイプに更新されていないばかりか、2世代前の国鉄タイプのものしか見当たらない。もっとも、下り屋根はいつの間にか新しく架け直されているし、コンコースにも随分手が入っている。狭いなりにどうにか整備しようという努力の跡は感じられる。

 線路の南側には水道道が接しており、駅前を過ぎると丘の上に広がる西谷浄水場と住宅街に向けた上り坂となる。道路と線路が近接しすぎてロータリーは充分な広さが確保できず、路線バスは近くの空地で折り返している。北側の眺めは天王町と全く一緒で、帷子川を渡って国道16号まで商店街が続いている。横浜国大の最寄り駅の一つだが学生の姿はまばらで、ごく普通の郊外の風景だ。

 この時期どこでも聞く山下達郎のメロディが流れるなか、川沿いの路地には我関せずとお地蔵様がひっそり佇んでいた。


57駅目の選択
駅名 会社 路線
千鳥町 東急 池上線
京成千葉 京成 千葉線
千葉中央 京成 千葉線他
千葉ニュータウン中央 京成 成田空港線
長後 小田急 江ノ島線
調布 京王 京王線他


 スタートが遅すぎたので既に辺りは薄暗い。千葉シリーズが当たったとしても、今日行くか次回のスタート地にするかは考えどころだ。近距離な上に自宅と逆方向の5なら続行、1が出れば帰路に立ち寄れる。北関東はおろか埼玉すら一つもなく、恵まれた顔ぶれだ。


サイコロ1  → 1 千鳥町


 おっ。一番行きやすい1が出た。万々歳だ。それにしても、ここの所蒲田近辺がずいぶん多い。


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
和田町 → 横浜 相鉄本線 各停 横浜 16:34 16:44
横浜 → 蒲田 JR京浜東北線 各駅停車 南浦和 16:57 17:15
蒲田 → 千鳥町 東急池上線 各停 五反田 17:22 17:27


 帰りの各駅停車は、最新鋭の11000系が来た。JRE233系の兄弟車で、自動窓や外側ディスクブレーキなどオリジナル仕様に強くこだわった相鉄の従来車両とは何もかもが異なっている。ドア上には流行のLCD画面が2つも付いているが、表示される広告はワタベウェディングと天王町の質屋と人形の家の繰り返し。自社広告と三菱電機(明らかに付き合いだ)しかなかった登場当初に比べれば随分華やかになったが、やはりローカルだ。

 昼食でも夕食でもない中途半端な時刻だが、やはり横浜で相鉄を降りると構内の「星のうどん」に入ってしまう。JRに乗り換えると、強風で遅れていたはずの秋田新幹線に信号装置故障が追加されている。厄日だ。我が京浜東北線は先行電車が遅れたのか蒲田手前で止まらんばかりの徐行をしたが、ぎりぎり停止せずホームへと滑り込んでいく。

 池上線は早めの帰宅客で雑踏していた。旅行の帰りなのか、桜えびせんべいの大きな袋を抱えた女性2人が話に花を咲かせている。国道1号をオーバークロスして坂を駆け下りれば、千鳥町駅である。


あいおい → いけのうえ → えだ → だいじんぐうした → だいやむこう → うえの → のうけんだい → いくた → だいたばし → しばさき → きたいけぶくろ → ろくごうどて → てんのうちょう → うすい → いずみ → みずほだい → いえなか → かぞ → ぞうしき → きたかすかべ → へみ → みなみくりはし → しいなまち → ちとせふなばし → しずわ → わかばだい → いけじりおおはし → しもやまぐち → ちとせからすやま → ますお → おおもりまち → ちちぶ → ふくい → いずみたまがわ → わいあーるぴーのび → ひがしこいずみ → みなみさくらい → いたくらとうようだいまえ → えそじま → まくはり → りゅうまい → いおぎ → きたみ → みなとちょう → うのき → きざき → きよせ → せんげんだい → いけがみ → みたかだい → いしかわだい → いなぎ → きたかぬま → まちや → やぎさわ → わだまち →
57駅目
千鳥町   どりちょ  (東京急行電鉄池上線 / IK12 / 東京県大田区)
千鳥町駅舎 千鳥町駅名標 千鳥町


 前々回訪問した池上の隣駅。足元注意のアナウンスを聞き流しながらホームに降り立つ。ぱっと見鵜の木とよく似た駅で、上下線それぞれの改札が最短の動線で目の前の路地に繋がっている。駅前通りにはバスは乗り入れておらず、センターラインすらない。

 駅周辺には小さく商店が固まっているが、焼肉店や焼き鳥屋さんが非常に多い。オープンしたてのお店もあって、表のメニューを前に奥様方が熱心に品定めをしている。蒲田から田園調布までカバーする大田区は東京湾から離れるにつれ高級志向が強くなるが、この辺りはまだ随分庶民的らしい。踏切脇には「保険調剤 世界の国旗」という、よく分からない取り合わせを扱った商店も鎮座している。

 それにしても、年の瀬からどの駅でも見かける「プラットホーム事故0運動」のポスター、「ちどり足」の文字がこの駅ではひときわ気にかかる。ただの偶然だが駄洒落みたいだ。


58駅目の選択
駅名 会社 路線
梅郷 東武 野田線
梅島 東武 伊勢崎線
梅屋敷 京急 本線
運河 東武 野田線
梅ヶ丘 小田急 小田原線
浦賀 京急 本線


 日もとっぷり暮れたし、どこが出てもここ千鳥町で本年は打ち止め…としたい所だが3だと近すぎてかえって微妙である。基本的には来年のスタート地点の選択となるが、いきなり三浦半島の6は勘弁して欲しい。


サイコロ4  → 4 運河


 千葉県。自宅からは中途半端に遠いが、まあいいだろう。


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
千鳥町 → 五反田 東急池上線 各停 五反田 17:43 18:00
五反田 → 押上 都営浅草線 快速 成田 18:11 18:41


 このまま池上線を五反田まで乗り通して自宅に帰る。蒲田と五反田の勢力範囲の境がどの辺りか興味深々で車内を観察していたのだが、どうやら御嶽山付近が分水嶺らしい。東急ストア五反田店の中を通り抜け地下に潜れば、あとは自宅最寄り駅まで乗り換え無しである。スタートが遅かった割にサイコロの目に恵まれ、3駅巡れたのだから今日は上出来だ。来年は、どんな駅との出会いがあるだろうか。


(つづく)

2013.5.4
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