神奈川 外周気まぐれ!?列車(&バス)


▼第6回 湯河原駅(足柄下郡 湯河原町) → 三崎口駅(三浦市) 2007年7月7日(土)

 雪の中箱根をさ迷った前回から、随分間が開いてしまった。雨が降っているけれど、午後から止むという予報を信じて出かけてしまおう。

 今日は相模湾岸を一気に辿る。この先ずっと海沿いだから、パクリ元(苦笑)との差がますます曖昧になるがどうしようもない。

湯河原−市民会館前
(1)〈通算56〉 湯河原駅 8:45 → 市民会館前 9:25
  箱根登山バス [湯河原駅→小田原駅]
 6時台 に自宅を出て、神奈川県西端の湯河原までやって来た。今日のルートはここから横浜方向へ引き返すわけだから、全くもって効率が悪いが止むを得ない。何しろ、湯河原−小田原間のバスは1日1本(土曜の場合。平日2本、休日運休)しかないのだ。じゃあ東海道線で妥協すればいいじゃないか、という考えもあるが、そうすると小田原駅を2度通る事になるのでアウト。

 当然のように無人で発車したバスは、湯河原市街を下り国道135号線に出る。伊豆へ向かう下り車線は、既に混雑している。途中で何名か乗客があったが、真鶴町に入って駅前に寄ると全員降りてしまう。

 短いトンネルを抜け、真鶴道路の出口料金所で一旦停止すると国道は相模灘すれすれに寄り添う。生憎の土砂降りで、眺めは陰鬱である。こんなに暗い相模灘を眺めるのは、いつ以来だろうかと思う。

 小田原市に入ると、断崖絶壁の隙間を埋めるように集落が現れ、何名かの乗客を拾う。小田原市街や東京方面に向かう地元客だろうが、帰りはどうするのだろう。折り返しの「終バス」は既に出てしまっている。

 早川を渡り国道1号線に合流すると、にわかに城下町の雰囲気が漂ってくる。小田原駅の3つ手前、市民会館前で下車。

市民会館前−国府津
(2) 市民会館前 9:38 → 国府津駅 9:58
  箱根登山バス [小田原駅→国府津駅]
 湯河原からのバスは、渋滞に巻き込まれたわけでもないのに8分も遅れていた。次の乗る国府津駅行バスの発車時刻を既に3分過ぎているが、一縷の望みを託し歩道橋を駆け上がる。果たしてバスは遅れて姿を現したが、タッチの差で乗り遅れた。

 小田原から国府津までは、国道1号上を箱根登山バスが15分間隔で走っている。「山に登らない」登山バスの中では、割合本数が多い基幹系統である。待つことしばし、次のバスにはパラパラと利用客があった。

 市中心部を外れると、国道1号は4車線から2車線に減少する。こまめに乗客を降ろすが、酒匂川を渡る段階でもまだ8人乗っている。割と中距離の利用客が多い。

 ちなみにこの区間、登山バスの他に神奈中バスも走っている。ただし、休日のみ1往復という冗談みたいな本数である。停留所名はほぼ登山バスと一致しているのだが、酒匂小学校バス停だけは、神奈中のみ「日本たばこ前」と称している。如何なる経緯か分からないが、JTと小学校とは妙な対比である。

国府津−大磯
(3) 国府津駅 10:17 → 大磯駅 10:50
  神奈川中央交通 平43系統 [国府津駅→平塚駅 (大磯駅経由)]
 国府津 の駅舎は随分と大きい。が、これは電車区が近接しているためであり、改札口周りや駅前広場は実に小ぢんまりとしている。その駅頭に今日は随分と子供がいて、上り電車に次々乗り込んでいく。

 国府津から東は、本格的に神奈中バスのエリアになる。この区間は前述の小田原−平塚間のバスに乗って、5年ほど前に通った事がある。あの頃の国府津−平塚間は、大磯駅を経由せず国道1号を直進する平41系統が20分間隔で運転されていて、大磯駅に寄る平43系統は目立たない存在だった。いつの間にか両者の立場は逆転していて、平41系統は極端に減り、43系統がパターンダイヤ化されている。それはいいのだが、30分ヘッドに間延びしてしまったのはどうしたことか。

 ともあれ、外周ルートの平41系統は夕方まで来ないので、43系統に乗車しよう。やって来たのは水色の特別仕様車で、貸切使用を意識して背もたれにカバーがかかっている。

 道はやや渋滞気味だが、乗客はわずか6名。しかも、大半が初乗り運賃区間のうちに降りてしまう。ほどなく橘支所前に停車、バス停名に使われているのは小田原市の支所だが、二宮町との境界を示す標識が立っている。ところがバス停1つ分も行かないうちに、国道1号は小田原市に舞い戻ってしまう。地図を見れば確かにその通りだが、境界をまたぐ度に律儀に立派な看板が設置されているのは、ちょっと無駄ではないかという気もする。

 こまめにかき集めた乗客は二宮駅でごっそり入れ替わり、いつの間にか大磯町に入る。箱根駅伝を髣髴とさせる松並木の中を、バスは淡々と走る。近々祭礼があるらしく、沿道には注連縄が張られ、山車が出番を待っている。

 国道を外れ狭い道を登ると大磯駅である。伊豆箱根バスが客扱いをしていて、何でこんな所にと驚いたが、大磯ロングビーチ行の直行バスだった。

大磯−平塚
(4) 大磯 10:55 → 平塚 10:59
  JR東日本 東海道本線 普通 [熱海→東京]
 小田原市街から海べりを走ってきた国道1号(旧道)は、大磯の先でJR線の山側に移る。従って当初プランでは大磯駅から、線路のさらに海側を経由する平39系統(平塚駅南口行)に乗り継ぐ事にしていた。しかし市民会館前での乗り遅れにより、10時30分発のバスは既に影も形もない。1時間後の次の便を待ってもいいのだが、この先の行程も勘案し、東海道線でショートカットすることにした。

 やって来たのは211系15両の東京行。このシリーズで初めて、ゴール地点の横浜駅を経由する交通機関が現れたことになる。車掌は女性で、東海道線もそういう時代になったかと思う。

 さすがに211系は飛ばしに飛ばし、あっという間に平塚市へ…となるはずだったが、平塚駅で特急退避をするとかで、駅手前で随分もたついた。物凄い人込みに流されて駅前に出ると、雨は止んでいた。

平塚−浜見平団地
(5) 平塚駅 11:31 → 浜見平団地 11:43
  神奈川中央交通 臨時 [平塚駅→浜見平団地]
 ぱっとしない天気の中、なぜ今日バスに揺られているのかと言えば、湘南ひらつか七夕まつりの開催日だからである。国府津駅で見かけた子供達も、大磯で降りたバスに乗っていた人達も皆、このお祭りを目指していたのであろう。何年かぶりに会場の商店街を歩いてみたが、大層な人出であった。

 七夕まつり期間中には、何本か臨時バスが出ている。小田急線本厚木駅行など、納得できる便もあるのだが、中にはなぜこんな所へ?と首を傾げたくなる系統もある。浜見平団地行もその一つで、どこだろうと地図を広げれば、相模川対岸の茅ヶ崎市内である。普段さほど交流があると思えず、路線の設定も無い隣町の団地から、30分ヘッドでバスが走るのである。

 本来の外周ルートは、相模川をJRで渡り、茅ヶ崎から辻堂方面へのバスに乗ることになっている。しかし、浜見平団地は線路より海側にある。これは利用してみるしかないだろう。(余談だが、辻堂の「辻」のしんにょうは、正確には点が2つある。現地でも表記は混在しているので、本文では「辻」とした。「逗」子も同様。)

 バスは、系統番号こそ無いものの、「浜見平団地」とLED表示をしっかり掲げてやって来た。車内の運賃表示機も使われており、意外に本格的だ。もっとも、まだ午前中だから客はいない。運転手が同僚に「差し入れは無いの?」と冗談を飛ばしている。

 ほぼ定刻に駅前ロータリーを出ると、すぐ先で交差点を右折する。角にはカメラを構えた青年が立っていた。撮ってる向こうも乗ってるこちらも物好きである。「浜見平団地までですか?」と運転手に声をかけられる。そうだと答えたせいか最初から用意してなかったのか、案内テープは流れなかった。

 馬入橋手前で国道1号に合流。このまま真っ直ぐ国道を走れば、茅ヶ崎駅行の茅06系統と同じ経路という事になる。しかしバスは、産業道路入口交差点で右折し、JR線をくぐって海側へと出た。この道路には、普段路線バスが走ることは無い。住宅と畑の混じる田舎道で、左手から国道1号新湘南バイパスの高架が寄り添ってくる。川にはクルーザーがずらりと並んでいる。

 運転手からもう一度、「終点まででいいんですか?」と尋ねられる。次に出くわす停留所は浜見平団地だから、妙な質問である。「いいえ」と答えたら、どこに連れて行かれたのだろうか。団地内の他のバス停まで送迎してくれたのかもしれない。

 にわかに家が建て込んでくると、バスは団地内のバスターミナルに到着した。折り返しのバスが出るまでの間、乗客の列はぐんぐん伸びた。七夕まつり、まったくもって侮れない。

浜見平団地−会館前
(6) 浜見平団地 12:00 → 会館前 12:14
  神奈川中央交通 茅33系統 [浜見平団地→茅ヶ崎駅南口(中海岸経由)]
 浜見平団地は、茅ヶ崎市南西端のバス路線集積地になっているようで、様々な経路のバスが茅ヶ崎駅との間を行き来している。最も外周寄りなのは西浜を経由する茅37系統だが、これは1時間に1本しかない。中海岸という、名前に反し内陸側のバス停を通る茅33系統が基幹系統のようで、20分毎に運転されている。

 定刻から少々遅れてやって来たバスは前後扉を同時に開けた。前乗り後降り前払いなのである。この界隈では珍しい形態である。案内上は団地行だが実態は循環系統で、車内には駅から乗ってきたお客さんが残っている。

 バスは団地の外側を辿る狭い通りを3/4周し、団地バス停のすぐ近くまで戻ってからようやく駅を目指す。バス停毎に続々とお客さんが乗り、よく賑わっているのは結構だが、会館前に着いた時には7分遅れていた。

会館前−浜見山
(7) 会館前 12:21 → 浜見山 12:40
  神奈川中央交通 辻02系統 [茅ヶ崎駅南口→辻堂駅南口(辻堂団地経由)]
 小田原にも似たような名のバス停があったが、こちらは茅ヶ崎駅の2つ手前になる。次に目指すのは辻堂駅の5つ手前の浜見山で、こちらは浜見平と混同してややこしい。

 茅ヶ崎−辻堂間で外周ルートとなるのは国道134号を走る江ノ電バスだが、これは9時52分発1本しかない(今日はこんなのばっかりだ)。次善の策は神奈中の辻02系統で、12時12分の便に乗る予定をしていたのだが、茅33系統の遅れによりおしゃかになってしまった。このバスは1時間に1本しかない。

 そうなると次の辻13系統に乗り、外周ルートから外れる富士見町で別のバスに乗り継ぐしかない。難儀だなあと思っていると、なんと辻02系統がやって来た。ラッキーではあったが、9分も遅れている。

 海は全く見えないが、車窓にはどこか湘南の匂いが漂っている。ベロタクシーを追い抜き、瀟洒な花屋やケーキ屋さんの前を通過する。こまめに乗降を繰り返すうちに往来の激しい道路に合流して浜見山着。

浜見山−長谷
(8) 浜見山 13:01 → 長谷駅 13:33
  江ノ島電鉄(バス) [辻堂駅南口→鎌倉駅]
 冒頭の小田原行バスと並んで本日の行程を決定付けたのが、このバスである。藤沢・鎌倉両市の「これぞ湘南」という風景を独り占めするような経路を辿るのだが、いかんせん本数が少ない。1日4本(平日は5本)、次のバスが最終便である。本数が少ない理由も登山バスと一緒だろう。このルートで定時運行は無理である。

 浜見山バス停は藤沢と辻堂からそれぞれ海岸に向かう道がX字に交差している箇所にあるが、とにかくよく混んでいる。駅方向を見渡すと、神奈中や江ノ電のバスがまさに数珠繋ぎに渋滞にはまっている。先程の辻02系統の遅れも、ここの混雑を引きずったものだろう。仕方ないなあと思っていると、意外にも鎌倉駅行は定刻にやって来た。大したものである。

 浜見山の交差点を過ぎると、渋滞は解消する。このバス、実に丁寧な運転で、発進停止のたびに肉声でアナウンスが入り好ましい。停留所毎に降車があって、湘南海岸にたどり着いた時点で乗客は2人だけになっていた。

 バスは海岸に沿って、国道134号をのんびりと走る。雨はすっかり上がって、海は青みがかってきた。鵠沼プールガーデン、小田急ショップ前、江ノ島水族館前と"いかにも湘南"な名前のバス停が続く。そこここにサーファーが闊歩している。装いを一新した水族館の前から女の子が2人乗ってきた。こんな不便なバスに、奇特なことと思う。

 程なく右手へ、江ノ島へ渡る橋を分岐する。この界隈から眺める江ノ島は、それはもう見事に江ノ島である。よく分からない感想ではあるが、ともあれ江ノ島までやって来たなあと感慨に浸る。

 しかしその先、腰越漁港の前でバスはぴたりと足を止めた。渋滞である。必ずはまるだろうと思っていたが、やはりはまった。まあいいだろう。のんびり眺める湘南海岸も悪くは無い。同じ相模灘でも、もはや真鶴辺りとは別の海である。どこまでも穏やかだ。並行する江ノ電の電車から眺めるのとは、また違った景色である、ような気もしてきた。

 七里ヶ浜で渋滞は解消した。稲村ヶ崎でサザンではなくsavage geniusを思い起こす辺り、やっぱり自分はオタクだなあと思う。由比ヶ浜で海岸を離れ、路地をクランク状に曲がると長谷駅である。

長谷−鎌倉
(9) 長谷 13:41 → 鎌倉 13:46
  江ノ島電鉄 各停 [藤沢→鎌倉]
 このまま鎌倉までバスを乗り通しても構わないのだが、やはり江ノ電を外すわけには行かない。やって来たのは最新鋭の500形で、これが初乗車である。カラー液晶の案内装置など新車らしい装備を兼ね備えているが、車窓は昔からなんら変わらない。海沿いも良し、町なかも良しの江ノ電だが、この長谷と鎌倉の間は、両側に家が迫ってことさら江ノ電らしい風景が展開する。

 鎌倉駅の手前に大きな踏切があり、先頭には先程まで乗ったバスが止まっている。ゆっくりホームに滑り込めば、降りる客も乗る客も実に多くさすが江ノ電である。

 駅前は、参院選挙の候補者の演説で騒然としていた。

鎌倉−逗子
(10) 鎌倉駅 14:05 → 逗子駅 14:36
  京浜急行バス 鎌40系統 [鎌倉駅→逗子駅(小 坪経由)]
 今日は箱根登山・神奈中・江ノ電と各社のエリアを串刺しにしてきたが、遂に三浦半島の雄、京浜急行の登場となる。

 横須賀線で一駅の鎌倉−逗子間には、名越経由と小坪経由の2種類の京急バスが走っている。鉄道も含め一番外周側なのは小坪経由の鎌40系統で、20分毎に運転されている。よく乗っていて、立客が大勢出る。こんなに混むバスは、今日は初めてである。

 バスは若宮大路を下って一の鳥居をくぐり、鎌倉女学園の先を左に折れて住宅街に入る。海岸線にぐっと近づくと材木座で、どうだっ、と言わんばかりの光景が眼前に広がる。しかし程なくバスは山側の路地へと折れ、にわかに上り坂にかかるとトンネルをくぐる。あとは山中の住宅街を右へ左へ。海岸もJR線も見当たらず、どこをどの方向へ走っているのかサッパリ分からなくなってきた。しかも、朝からの疲れが出て眠くなってくる。

 気がつけば逗子の市街地で、バスは駅前の渋滞にしっかりはまっていた。てっきり国道134号を爆走するバスだと思っていたのだが、存外に厳しい山越えがあって面白かった、ハズの路線である。寝てしまったのは何とも悔やまれる。

逗子−葉山
(11) 逗子駅 14:48 → 葉山 15:11
  京浜急行バス 逗12系統 [逗子駅→葉山(海岸回り)]
 寝ぼけ頭のまま逗子駅前に降り立つ。定刻より9分遅れており、あっと思った時には乗り継ぐバスは出てしまった。次は12分後である。

 逗子の駅前に立つのは今日が初めてである。駅前に至る一通の道路は渋滞しているが、活気がある事の証でもある。運転上の要衝で駅舎が大きいのは国府津と一緒だが、往来する人の数は比較にならない。

 葉山へ向かうバスは、内陸の国道134号を経由し横須賀方面まで直通する便と、海岸沿いを走る区間便の2種類がある。当然乗るのは後者だが、乗車待ちの列はみるみる伸びていく。今回も立客が大勢出た。

 バスは駅前ロータリーを一回転すると、京急新逗子駅に立ち寄る、こちらは静まり返って乗客も無い。京急がJRを圧倒している三浦半島の中で、逗子だけは様相が異なっている。

 道が狭くカーブします、とアナウンスがあって、バスはセンターラインの無い細道に踏み入る。国道を越えると海岸に沿い、ウインドサーフィンの群れが遠望される。ほどなく、名前だけは知っている葉山マリーナの前を通過。

 鉄道の無い葉山町には、実は一度も来た事が無い。多分、県内唯一の未訪市町村である。海に沿った眺めはどこまでも風光明媚で、神奈川県らしからぬ鄙びた佇まいをしている。同じ湘南でも、茅ヶ崎や藤沢辺りとはひとくくりに出来ない雰囲気が漂っている。東伊豆に対する西伊豆の立場に似ていて、思いもかけず良い風景を発見した、そんな気分にさせてくれる。

 元町バス停辺りまで来ると、中心街らしい雰囲気が現れてくる。その証拠に、狭い道の傍らにスターバックスが建っている。こんな所に、と思いかけたが、葉山に似合うお店ではある。

 再びローカルな風景が続いて、国道と合流すると終着・葉山バス停である。町役場付近でもスタバ付近でもないここがなぜ「葉山」を名乗るのだろうと見渡せば、正面に御用邸が建っていた。

葉山−長井
(12) 葉山 15:14 → 長井 15:43
  京浜急行バス 逗6系統 [逗子駅→長井]
 葉山バス停は、小さな川をまたぐ橋上にある。もう1本下流にも橋が架かっているが、御用邸の敷地内である。高貴な御方しか渡れない橋なのだろう。

 三浦半島東岸のバスは、逗子駅から長井を南限として下る便と三崎口駅から横須賀市民病院を北限として上ってくる便、さらに横須賀駅や衣笠駅から割り込んでくる便が絡み合って、少々複雑な状況を呈している。逗子駅で1本乗り遅れたので、予定していた15時07分発の長井行には間に合わない。次の便は病院止まりで、接続がどうなっているかは分からない。まあなるようになるだろう、と思っていると長井行が7分遅れでやって来た。

 国道に入っても、横須賀市に入っても、海岸沿いの鄙びた風景がずっと続いている。ようやく海岸を離れると、ちょっとしたアップダウンがあって、横須賀方面のバスの始発停留所である大楠芦名口を通過。間もなく佐島マリーナへの道路を分岐する。

 ここで海側の車窓は一変する。電力中央研究所なる施設が、広大な敷地を伴って現れるのである。建ち並ぶ大鉄塔や、何をしているか良く分からない巨大な建物が、怪しさを存分に発揮している。続いて見えてくるのが横須賀市民病院。驚くべき事に、横浜駅への直通バスが設定されている。

 そして、トドメの如く姿を現すのが自衛隊である。海自、続いて陸自の建物が現れて、形容のしがたい威圧感を発している。「少年工科学校前」なんてバス停が現れると、実像はともかくとして、なんだかとっても後ろ暗いイメージが湧いてくる。

 ようやく普通の街並みが戻ってくると、終着長井である。駅も何も無い道端だが、バス停のポールが立ち並んで、ターミナルの体裁を整えていた。

長井−三崎口駅
(13)〈通算68〉 長井 15:53 → 三崎口駅 16:03
  京浜急行バス 須8系統 [横須賀駅→三崎口駅]
 逗6系統の長井着は、定刻より12分遅れていた。目の前には15時42分発のソレイユの丘発三崎口駅行の急行バス(三54系統)が止まっていて、待っていてくれたのかと嬉しくなったが、目の前でピシャリとドアを閉められてしまう。

 意気消沈して次の便を待っていると、定刻よりも随分早く三崎口駅行のバスがやって来た。どうも33分発の須8系統が盛大に遅れてきたらしい。今日はこのパターンが随分多い。結果として助かったケースが多いのは喜ばしいが、定時性の低さは明らかで、次回が心配である。

 この辺りは海岸から離れていて、バスは畑の中を淡々と走る。宮田バス停で部活帰りの中学生が大量に乗車。よほど疲れているのか、中学生としては異様に静かである。そもそも、ここは終点の1つ前なのだが…とも思ったが、ここから三崎口駅までは随分距離があった。

 ちなみに、今日乗ったバスの中で、この便だけ行先表示が字幕式だった。気がついたらどこもかしこもLEDばかりで、どうにも写真を撮りづらくて困る。

 この際、三浦半島南端まで極めてもいいのだが、くたびれたし、この辺りが頃合かと思う。次回…も三崎口までもう1度来るのか。 大変だ。


(つづく)

2007.9.1
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