神奈川外周気まぐれ!?列車(&バス)


▼第4回 市役所入口(厚木市) → 松田駅(足柄上郡松田町) 2006年11月19日(日)

 せっかく厚木までやって来て実家に泊まったので、翌日もう少し先へと進む。どんより曇り気味なのは気がかりだが、比較的短距離で終える予定なのでよしとしよう。

市役所入口−日向川
(1)〈通算39〉 市役所入口 10:05 → 日向川 10:24
  神奈川中央交通 厚33系統 [厚木バスセンター→上谷戸(神奈川リハビリ経由)]
 まずは県央随一のバスターミナル、厚木バスセンターへ。今日も神奈中バスの旅が続く。1日乗車券は昨日相模大野で2枚買っておいた。

 厚33系統は七沢方面への基幹系統で(終点の上谷戸はこの翌月、その名もずばり「七沢」に改称)、データイムはきっかり20分ヘッドとなかなかの高頻度運行である。ただし乗客は4名。日曜朝の下りだからこんなものではあろう。

 市役所入口を通過し外周ルートに入ると、バスはすぐ左折する。地元意識のある厚木だが、この道を辿るのは初めてである。すぐに上り坂にかかり、頂上に君臨するのが厚木高校。どうして学校というものは、どこもかしこも偉そうに山の上に鎮座しているのかと思う。あとで通過する、僕の母校にしてもそうである。

 厚高を過ぎるといったん下り坂になる。不動産屋の若い社員が寒風に吹かれながら幟を掲げていて、ご苦労なことと思っていたら大きなあくびをした。

 やがて左手に、田んぼの中を真っ直ぐに通じた立派な道が現れる。森の里への取付道路で、なかなかに往来が激しい。厚木市内、というより県央県西で最大級のニュータウンである森の里には様々な経路のバスが走っている。同一バス停を通過せずに一周することは可能だが、若宮橋の交差点を2度通過するので外周ルートとは認定せず割愛する。小野橋を渡って取付道路から外れると、一気に車窓が鄙びて県道伊勢原津久井線に合流する。

日向川−片町
(2) 日向川 10:29 → 片町 10:43
  神奈川中央交通 伊34系統 [上谷戸→伊勢原駅北口(総合運動公園経由)]
 ここで伊勢原駅行の伊34系統に乗り換える。80分間隔と厚木方面とは比べ物にならない本数だが接続は良く、大型バスがすぐに現れて中ドアが開いた。神奈中の距離運賃制区間では前乗り前降り後払い方式を採用しており、中ドアがほとんど役に立っていないという不可思議な状態が定着していたが、2006年3月から伊勢原営業所だけが中ドア乗車を試行している。

 バスはすぐに峠越えにかかり、道幅が狭まる。とは言っても分水嶺にトンネルは無く、住宅と畑の入り混じった中に厚木・伊勢原両市の境界を示す看板が建っているだけであった。ぽつぽつと乗客があり、総合運動公園で女子中学生の集団を乗せると車内は賑やかになった。

 伊勢原のバス路線網も厚木と同様、駅を中心に放射状に広がっている。丹念に辿るならば専修大学入口で降りて、産業能率大学経由で石倉橋に至るべきだが省略。

 市街に近づくにつれて都会的な景観が、と書きたいところだが現実は異なり、「堆肥1袋100円」なんて看板が何枚も現れる。それはまあ良いとしても、看板にコナンやドラゴンボールのイラストが書いてあるのは、大人の事情とか大丈夫なのだろうかと心配になる。

 東名高速をくぐると、どうやら周囲は住宅街となった。片町で下車。

片町−石倉橋
(3) 片町 10:51 → 石倉橋 10:56
  神奈川中央交通 伊10系統 [伊勢原駅北口→大山ケーブル駅]
 片町バス停は津久井・七沢方面と大山方面からの2つの街道が合流する地点にある。ここから1つ南の片町十字路(国道246号線伊勢原交差点)までは市内のボトルネックで、休日夕方の渋滞はそれは酷かった。今は大山・日向とも片町を通らないバイパスが使え、路線バスのみが街道筋を辿る。

 これから乗るの伊10系統は伊勢原駅と大山を結ぶいわば伊勢原営業所のエース系統で、JTB時刻表にも掲載されている。今日の大山山頂は雲に覆われているが、混雑する車内には登山客の姿も散見された。

 東名高速を再びくぐりバイパスが合流すると、ぐっと道幅が狭まって石倉橋着。

石倉橋−団地北
(4) 石倉橋 11:15 → 団地北 11:20
  神奈川中央交通 伊41系統 [伊勢原駅北口→伊勢原車庫(殿村・石倉橋経由)]
 某銀行の書庫、という良く分からない物件の先に石倉橋バス停はある。ここで乗り換えるのは伊41系統で、伊勢原駅から区画整理された住宅街を抜け、バイパスから大山街道に合流するという経路をとる。そのまま産業能率大学か大山駅辺りで折り返せば伊10系統の補完として機能すると思われるが、不思議なことにこのバス、石倉橋の交差点でくるりと引き返し、伊勢原車庫に入ってしまう。伊勢原駅と車庫を結ぶバスには妙な経路の物が多く、南口の伊03系統(みどりヶ丘経由)も相当ひねくれているが、こちらも中々である。

 まして休日の運転本数は4本、利用客などいるはずも無いのだが定刻を過ぎてもバスは現れない。さてはエムアイプラザの駐車場渋滞に巻き込まれたかと思いをめぐらす。家族ぐるみで使っているSCだから文句は言えない。

 結局、伊41系統は10分も遅れて姿を現した。下車客が2人、入れ替わりに乗り込むと誰もいなかった。果樹園の中を進んで東名をくぐると市街地、というパターンをもう1度繰り返し、国道246号線を越えたところで下車。

白根公民館前−広畑ふれあいプラザ前
(5) 白根公民館前 13:24 → 広畑ふれあいプラザ前 13:52
  神奈川中央交通 伊56系統 [伊勢原駅北口→下大槻団地]
 小走りで白根公民館前バス停に向かう。伊41系統の遅れにより、既に乗り継ぐバスの発車時刻を3分過ぎている。が、246号をずっと走ってくる伊56系統は多分遅れているだろう。

 果たして読みは当たり、はるか前方のバス停にバスが止まっているのが見えた。しかしこちらが手を挙げる前にバスは動き出してしまった。まさにタッチの差で勿体無かった。

 伊勢原駅と下大槻団地を結ぶ伊56系統には、高校の頃何度か載ったことがある。当時は40分間隔程度だったと思うが、現在は1時間に1本しかない。幸いにしてバス停の目の前にはダイエーと文教堂書店があり、ヒマつぶしのネタには事欠かない。

 …と思っていたのだが、そうだ昼食をと思い出しマックに入ったのはまずかった。降り出した小雨を突いて、店を飛び出したのが定刻ジャスト。バス停に立った時には1分超過していた。遅れの望みを託してしばらく待ってみたが、5分経っても10分経ってもバスは現れなかった。

 そこからのさらに1時間は、さすがに長かった。帰ろうかと思った。

 13時21分発の伊56系統は、こちらをあざ笑うかのごとく3分遅れでやって来た。乗客は3名と少ない。バスはやや流れの悪い246号をのんびりと走る。大住台を縦貫し、鶴巻温泉駅が近づいた所で秦野市に入る。

 国道246号線の善波峠を越えるバスが廃止された現在、鶴巻から秦野まではほぼ中間の才ヶ分踏切を境に東側が小田急線、西側は神奈中バスが外周ルートとなる。鶴巻温泉駅で降りずに発車を待っていると、時間調整の間に同経路の巻01系統が先に出てしまった。良く分からないダイヤである。

 鶴巻から下大槻へ至る道路は、落幡付近の道幅が広がっただけで、10年ちょっと前の記憶と何も変わらなかった。

広畑ふれあいプラザ前−上宿通り
(6) 広畑ふれあいプラザ前 13:58 → 上宿通り 14:17
  神奈川中央交通 平74系統 [平塚駅→秦野駅(下大槻団地経由)]
 下大槻団地の中心部にあるこのバス停は、かつて「ストアー前」と称していた。改名されたということは当然、神奈中ストアーは撤退してしまったのだろう。数え切れない路線が集まる平塚駅で、地名を冠せず「団地経由」とだけ書かれたバスに乗るとここ下大槻を経由する。それだけ古い団地ということになるが、正直活気には乏しかった。

 白根公民館前でのミスによって、予定よりだいぶ遅れてしまった。この後の接続がどうなっているかは皆目分からないが、秦野駅行のバスはすぐにやって来た。13時49分発が遅れてきたようで運がいい。開いたのは前ドアである。中ドア試行中の伊勢原営業所管内を外れたのだ。運賃箱も伊勢原より古いタイプだ。

 団地入口を左折すると母校の前を通過する。あの頃と変わらない風景が…と思ったら正面にしまむらが出店していて仰天した。あんな場所に大型店舗を建てる土地なんかあっただろうかと記憶を辿る。裏手の畑をあらかた潰してしまったものらしい。

 隣と後ろに部活帰りの女子高生が座って、30分以上も待たされたとため息をついている。定時性に難があるのは昔からでどうしようもないが、お疲れさまである。才ヶ分踏切を渡ると、県道への合流で十年一日の如くしっかりと渋滞。

 件の高校生はといえば、携帯電話に向かって「Qちゃんガンバレ!」と騒がしい。ワンセグで東京国際女子マラソンを見ているらしい。いやはややっぱり時代は変わった。

 土佐は逃げる。高橋は追う。果たしてレースの結末や如何に。決着がつかないまま、バスは秦野市街にさしかかった。

上宿通り−渋沢
(7) 上宿通り 14:29 → 渋沢駅 14:55
  神奈川中央交通 秦51系統 [秦野駅→渋沢駅(菩提経由)]
 上宿通りは秦野駅の3つ手前のバス停である。秦野市内の外周ルートは厚木・伊勢原とは違って明快で、菩提方面をぐるりと回って渋沢に至ればよい。まさにそのルートを完走する秦51系統は、うってつけの存在である。

 7名ほどが乗車した小型バスは、中心街を抜けると工業団地に入った。総じて敷地は大きく、名の通った企業の工場もある。やはり東名のインターがある町は違うなあと思う。ちょっと普通の家が混じって、もう終わりかなと思うとまた工場が続く。

 ようやく工業団地を抜け戸川入口辺りまで差し掛かると、車窓は昨日の津久井郡を思い出すほどに鄙びてきた。丹沢の山々が、畑の向こうに随分大きく迫ってくる。まるで信州を旅しているかのような空気が漂っている。菩提入口でお客さんが僕1人だけになり、バスは北小学校の裏手をくいっとカーブして方向を変えた。水無川を渡れば見覚えのある街並みで、あとは住宅街の中を一路渋沢駅に向かう。

渋沢−松田
(8)〈通算46〉 渋沢 15:09 → 新松田 15:15
  小田急電鉄 小田原線 急行 [町田→箱根湯本]
 渋沢から新松田にかけては、国道246号線と小田急線が一緒になって四十八瀬川の谷筋を下っている。国道の方が外周側なのだが、直通バスは1日1本(平日運休)しかない。松田ランドというアヤシゲな名のバス停で乗り継げばいいのだが、接続も悪いのでここは電車利用とする。

 渋沢駅は登り坂の途中に設けられていて、ホームに立てばはっきりと傾いているのが分かる。電車は小田原方向へあと少しだけ登ると、一転急坂を下りながらトンネルに突っ込む。トンネルを抜けると住宅街は消えうせ、山の合間をきりきりとカーブを繰り返しながら徐々に高度を下げていく。幾度も見慣れた光景だが、今日は雨降りならではの幽玄さを醸し出していて美しい。

 やがて前方に、今日1日付き合い続けた感もある東名高速が現れる。谷間を高々とまたぐために、無粋なコンクリートの橋脚がどーんと立ちふさがっている。邪魔といえば邪魔だが、ある種機能美を兼ね備えたこの高架橋の雰囲気は割と気に入っている。この橋をくぐれば、電車は足柄平野へと飛び出す。

 地元とはいえ、少々たるみすぎた感もある1日ではあった。反省反省。

 新松田駅の改札を出て、向かいのJR松田駅に一歩足を踏み入れてから実家に引き返した。


(つづく)

2007.3.4
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