神奈川外周気まぐれ!?列車(&バス)


 思いつきと言うものは、まったく突然浮かぶもので、ふと地元・神奈川県を一周してみたくなった。山あり海あり、政令市あり村ありの神奈川県、様々な顔が車窓から眺められる…かどうかはよく分からないが、とりあえずまあ、やってみるだけやってみることにしようかと思う。

一応のルール
 ・公共交通機関(電車・バス)を利用し神奈川県を一周する。
 ・ルート取りは極力県境に接近させる。ただし、一筆書きを基本とし、行き止まり型の路線までは踏み込まない。
 ・県外には出ない。出てしまうと、この企画崩壊するので(笑)。
 ・短距離であれば、徒歩連絡もやむなし。
 ・何が何でも外周ルート、と言うほどにはこだわらない。一周することに意義がある。…あるのか?

▼第1回 横浜駅(横浜市 西区) →登戸駅(川崎市多摩区) 2006年7月1日(土)

 という訳で始まった小旅行、スタート地点は横浜駅である。ベイブリッジを渡るバスがあるのだから、そもそも横浜駅が外周ルート上に存在しているかどうか が怪しいのだが、そいつはツッコミ禁止。ここから反時計回りに県内を一周する。

 今日は前半が京浜工業地帯の縦貫、後半は多摩川を遡るルートとなる。新百合ヶ丘駅(川崎市麻生区)までたどり着ければ万々歳だが、途中接続が厳しい箇所 があるから高望みはしないでおく。武蔵小杉駅(川崎市中原区)まで行ければ満足しておこう。

横浜−新子安
(1) 横浜駅前 11:22 → 新子安 11:34
  横浜市交通局(バス) 86系統 [横浜駅前→生麦]
 サマー バーゲンで平日ラッシュ時の何倍も雑踏する東西自由通路をかき分けて、東口・そごう隣のバスセンターへたどり着きバスカードを購入。長らく駅徒歩圏に住んでいるので、カードを買うのは久し振りである。発売機のカード取り出し口、ちょっと変な場所についてないだろうか?思わずまごついてしまった。

 16番乗り場に人影はほとんど無かった。寺尾方面へ向かう隣の乗り場に長蛇の列ができているのとは対照的である。バスは定刻(11:20)を過ぎた頃ようやく姿を現して、すぐに折り返す。乗客は僕を含め3名。

 86系統は横浜から生麦まで国道15号をまっすぐ走る路線だが、都市部にもかかわらず2時間に1本程度しか運転されていない。しかも、9時42分発に乗ってもこの先の接続はきわめて悪い。お昼前の出発になったのは、別に寝坊をしたからではない。

 バスは海をちらりと見て国道に乗る。工場がすぐそこに迫り環境が良いとは言いがたいが、住宅・商店がびっしり並んだ光景が続く。喘息を患う当方としては、やや信じがたい眺めではある。国道上の新子安バス停で下車。

新子安−国道 (2) 新子安駅前 11:51 → 国道駅前 12:02
  横浜市交通局(バス) 19系統 [新子安駅前→鶴見駅前]
 新子安 には「新子安」「新子安駅前」「新子安駅西口」と3つもバス停がありいささかややこしい。「新子安」で降りて「駅前」停留所はどこかとウロウロしていると、京急の踏切手前にだだっ広いターミナルがあった。もっとも人影は無く、鳩が群れて日向ぼっこをするばかりだ。最初はただの空地かと思い、JRの駅前まで行ってしまった。

 19系統は40分毎の運転で、駅前をばんばん走る京急やJRの電車と比べればいかにものんびりしている。ほぼ定刻にファミマの袋をぶら下げて若いあんちゃんがやって来たが、バスは来ない。不安げに「12時25分のバスを待ってるんですか?」と訊いてくる。「いや、45分がまだ来てないんですよ」「いつ もこんな遅れるんですか?」そんなことは知らない。

 6分ほど遅れたバスはぐるぐると旋回しながら陸橋に取り付き、国道15号をまたいで工場地帯に入っていく。土曜なのに交通量は多く、どこかの大工場の前であんちゃんが降りていく。バイトか新人かで来てみたら、昼飯買える所が無くて駅前まで出てきた、という感じがありあり。

 貨物線の廃線と交差し、国道15号に戻ると眺めが住宅街にぱっと変わる。国道駅を鶴見線の電車が発車していくのが見えるが、ここの乗り遅れは想定内なので動じない。

国道−浅野 (3) 国道 12:32 → 浅野 12:37
  JR東日本 鶴見線 各停 [鶴見→海芝浦]
 国道駅 を利用するのは初めてだが、噂どおりの昭和ノスタルジーな駅でなかなかの雰囲気。ただし、コンコースに面した店はことごとくシャッターを下ろしている。曜日のせいかどうかは分からない。てっきり無人駅だと思って改札内外をウロウロしていると、駅員が出てきたのでびびる。いや、ちゃんとSuica持ってますけどね。

 次の扇町行は1時間後。せっかく鶴見線に来たのだから、先行電車で海芝浦に向かう。終点まで乗り通し、そのまま東芝構内に入っていく客の多さに驚かされる。先ほどの19系統バスといい、土曜とは思えない賑わい。景気が回復してるということか。

浅野−昭和 (4) 浅野 13:07 → 昭和 13:15
  JR東日本 鶴見線 各停 [鶴見→扇町]
 浅野まで引き返すと、乗り継ぐ扇町行が弁天橋に停車しているのが見える。さすが鶴見線、駅間が短い。

 車内は用務客と部活動に行くらしい中学生でそこそこ賑わっている。公園や住宅など、案外生活を感じさせる車窓が続いて、「鶴見線=大工場地帯」との固定観念を少々崩してくれる。もっとも、安善の先で川崎市に入ると、右も左も工場ばかりになった。浜川崎からは操車場の片隅を申し訳なさげにソロソロと走るようになる。

昭和−労働会館前 (5) 昭和駅前 13:19 → 労働会館前 13:34
  川崎市交通局 川13系統 [扇町→川崎駅]
 昭和駅 は文字通り昭和電工の工場前にあり、大型のローリーが無理に曲がりながら踏切が開くのを待っていた。駅前に2本のポールが並んでいるが、川崎市バスは「昭和駅前」、臨港バスは「昭和電工前」と名称が一致していない。先に臨港バスが来たが、経路が違うので見送って市バスに乗る。先客が1名いた。

 浜町2丁目で国道15号を越える。外周ルートにこだわるのならばここで降り、臨港警察署前→塩浜→四谷下町と小刻みに乗り継ぐべきなのだが、そこまでは付き合いきれないので大雑把にやらせてもらうことにする。

 バスは3車線道路を快調に走っていたが、大島四ツ角でかなり無理な右折をして住宅街に突っ込んだ。何度か右左折を繰り返すと大通りに出て労働会館前で下車。川崎駅はすぐそこで、少々手抜き気味のルート取りではある。

労働会館前−江川1丁目 (6) 労働会館前 13:45 → 江川1丁目 13:57
  臨港バス 川03系統 [川崎駅→浮島バスターミナル]
 労働会館前バス停は公園やスポーツ施設に囲まれて緑が生い茂り、川崎の中心部とは思えない気持ちの良い場所である。どこの学校か、練習を終えた女子高生が直立不動で顧問の指示を聞いている。

 ここで臨海部へ再び引き返す。川03系統は川崎市バスと臨港バスの共同運行だが、やって来たのは青赤の帯を巻いた臨港バスだった。おそらくこの旅唯一の臨港バスだが、写真を撮り損ねる。カードも取り出さねばならないし、周囲の目もあるから携帯とは言えなかなか撮影しづらい。一眼レフを持ってこなかっただけマシではある。

 バスは富士見通りを真っ直ぐ下り、左折で国道15号に入る。真上に首都高速が覆いかぶさり、陰鬱とした道路である。山側は住宅街、海側は工場がずっと続く。この辺り、15号がはっきりと境界線になっているようだ。

 京急線の踏切を渡り、大師河原交差点を右折。すぐの江川1丁目で降りる。大粒の雨が降り始めていて、駆け足で産業道路駅への歩道橋を渡る。

産業道路−川崎 (7) 産業道路 14:02 → 京急川崎 14:10
  京浜急行電鉄 大師線 普通 [小島新田→京急川崎]
 ここで進路は西へ転じ、多摩川沿いを遡る旅となる。

 京急大師線と言えば700形だが既に全車引退しており、やって来たのは1000形だった。こちらとて徐々に希少となりつつある車両ではある。支線区だから高速性能は堪能できないが、この軽やかな走りはやはり京急ならではだ。

 ちょこまかと走っては止まるその線路上、送電線がずっと続いている。線路上にしか設置スペースがなかったものらしい。大師を過ぎてしばらく先、頭上が空いてキリキリとカーブを切ると川崎駅である。

川崎−小杉 (8) 川崎駅 14:43 → 小杉駅 15:25
  川崎市交通局 川74系統 [川崎駅→小杉駅]
 多摩川遡上、と言えばJR南武線だが、この電車川崎駅から多摩川に背を向けて発車した上に、尻手付近で横浜市域に舞い戻ってしまう。とても外周ルートとは言いがたいので、ここは川沿いを北上するバスを利用する。

 多摩川に面した上平間へは川崎市バスが頻発しているが、1時間に1〜2本ほどそのまま武蔵小杉駅まで足を伸ばす便がある。これを利用するわけだが、直前に川崎駅至近をちょこっと周回するだけのバスが同じ「川74」の系統表示を出してやって来るので要注意。良く分からない番号の振り方である。

 車も人もやたらと多い川崎駅前、JR線をくぐるまでが一苦労である。駅西側に出れば後は快調。右手にちらりと多摩川を望む。本来堤防があるべき場所に高層マンションが鎮座している。大丈夫なのだろうか、これ。

 立客も出ていた車内は、河原町団地を過ぎ国道1号を越えるころには随分空いてきた。ぽつぽつと商店が増えだすと上平間。街並みもターミナルの大きさも、バス停と言うより鉄道駅前の雰囲気がある。

 上平間から先の川74系統の経路は少々変わっている。この辺りの基幹道路と思しき南武沿線道路を淡々と走る川崎駅行に対し、小杉駅行は他系統が通らない多摩川寄りの道を北上するのである。大型車離合不可、あるいは一方通行の道路を走行するのだろうか。

 しかし期待とは裏腹に、道幅はさして狭くはならない。広くはないが、この程度なら大型バス同士でもすれ違えるだろう。ウチの近所のバス通りの方が、よほど狭い。

 釈然としないまま、バスは丸子の街中へと差しかかる。新丸子駅西口を通過すると、東急線の高架の取り付け道路を走り始めた。一方通行である。まさかここのために、上平間から延々と別経路で走ってきたのだろうか。謎である。

小杉−高津 (9) 小杉駅 15:46 → 高津 16:13
  川崎市交通局 溝03系統 [小杉駅→第三京浜入口]
 引き続き川崎市バスの旅である。市バスには2度乗るとモトが取れるという破格の1日乗車券があるのだが、この時はまだ知らなかった。迂闊である。

 武蔵小杉からは、黄金塚を経由する溝05系統に乗る。次の発車は16時12分だから、40分以上待つ。駅前にはエクセルシオールとスタバがあるが、どちらも満席。外は雨、駅前は渋滞、この先高津での接続は6分。

 1本前の溝03系統で妥協することにした。意を汲むかのように、バスは1分早発した。

 バスは渋滞する南武沿線道路を西へ…と思いきやすぐに右折、住宅街をすり抜けて府中街道に合流する。すぐに等々力グランドが現れ、溝05系統ならばここを右折して大回りをするが、我が溝03系統はこのまま府中街道を直進する。数名しかいなかった乗客は、停留所毎に増えていく。小杉より溝口の方が求心力があるのだろうか。

 やがて停留所名に「二子」が現れる。二子・等々力・沼部と、この辺り多摩川の両岸で同じ地名が使われているのは興味深いところである。この辺りから再び渋滞が始まり、高津には4分遅れて到着。

高津−久地 (10) 高津 16:55 → 久地駅前 17:03
  川崎市交通局 溝06系統 [溝口駅前→向丘遊園駅東口]
 高津バス停は府中街道と大山街道の交差点にある。そう書くと何やら由緒ありげで、実際大山街道に関する案内板も付近に建てられてはいるのだが、現実には商店と住宅が建ち並ぶ普通の町の普通のバス停である。ここで溝口駅(東急では「溝の口」、JRは「溝ノ口」、そして市バスが「溝口」と一定しないのはそろそろ何とかならないのか)からのバスを待つ。

 しかし目の前の道路は中々に混雑している。定時には来ないかもしれない。3分遅れるとこの先稲田堤での乗継時間が1分になり、14分遅れればプランは瓦解する。

 にもかかわらずバスはやって来ない。なぜか小杉へ戻るバス、それも東急バスばかりがやって来る。まさかストライキでも始めたか、川崎市。

 結局溝06系統は15分遅れてやって来た。定時性に難のあるバス紀行、どこかでこういう事態になるとは思っていた。まぁ、止むを得ない。

 このバス、遅れてきたばかりでなく大層混雑していた。運転室背後にどうにか吊革を確保。程なく道は空いたが、デイケアサービスの車が路上で切り返しをしていたり、中学生が車道に広がって歩いていたりと障害だらけで若い運転手が可哀想になった。

 久地駅前で下車。ここでようやく、南武線が外周ルートとなる。

久地−登戸 (11) 久地 17:07 → 登戸 17:11
  JR東日本 南武線 各停 [川崎→立川]
 オリジナルタイプの205系がすぐにやって来る。いつ乗ってもどこで乗っても常に混んでいる南武線、今日もやっぱり混んでいて座れない。

 バスのもたつきぶりとは対照的に、さすがに電車はスイスイと走っていく。沿線にちらりと畑が見えた。一日かけて、どうやらようやく「郊外」と呼べるエリアに差し掛かってきたようだ。

 外周ルートはこのまま稲田堤まで南武線だが、その先の接続が悪いので今日は登戸で打ち止めとする。

 登戸駅はいつの間にか大改装されていて、仰天した。一般に駅は改造すると歩く距離が伸びて不便になるが、南武線の場合は元の駅舎のキャパが小さすぎるので、この位大きくした方が便利なような気はする。それにしても浦島太郎の気分であった。

 新百合ヶ丘までは届かなかったが、初回としてはまずまず。次回は早起きを強いられそうだが、とりあえず考えないでおこう。


(つづく)

2006.8.27
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