関東私鉄しりとり&サイコロの旅  第18回 


 消化不良の前回から丸1ヶ月の2013年8月17日(金)。今日は他に何も予定がないから、存分に乗れる。果たして終わる事はできるのだろうか。まずは栃木県まで遠距離移動だ。


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
牛田 → 北千住 東武スカイツリーライン 普通 竹ノ塚 10:47 10:49
北千住 → 合戦場 東武スカイツリーライン 他 区間快速 東武日光・会津田島 10:51 12:04


 多少の風はあるものの、今日も暑い。今年の夏はずっとこの調子で、もう慣れてしまった。区間快速の車内はすっかり行楽モードで、おにぎりを頬張るクループ客や大声ではしゃぐ子供たちの姿が目に付く。こんな雰囲気の特急料金不要列車は今時珍しい。「可愛い電車だ!」と声が上がって上り線を見れば、スカイツリートレインが駆け抜けて行く。越谷を過ぎれば車窓はすっかりローカルじみてきて、東急やメトロからの直通電車よりこちらの方がよほど似合っている。

 前回のダイヤ改正から、区間快速の通過運転区間は東武動物公園以南から新栃木(実質的には新大平下)以南までに延びた。往時の瞬足ぶりを多少は取り戻した格好でぶんぶん飛ばすが、栗橋も通過しJRからの乗り換え客はまるで眼中にない。通過となった小駅も、単純減便でフォローは無しの冷淡ぶりだ。

 今日の利根川はずいぶん水量が少なく浅瀬が露出している。後ろの席では「海は広いな」と大合唱が始まり、裏腹に山々迫ってくると新大平下到着。遅れているJRからの特急を通過待ちとのアナウンスが入るが、すぐにスペーシアが通過して4分延で済んだ。新栃木で宇都宮線が分かれると、次が合戦場である。


あいおい → いけのうえ → えだ → だいじんぐうした → だいやむこう → うえの → のうけんだい → いくた → だいたばし → しばさき → きたいけぶくろ → ろくごうどて → てんのうちょう → うすい → いずみ → みずほだい → いえなか → かぞ → ぞうしき → きたかすかべ → へみ → みなみくりはし → しいなまち → ちとせふなばし → しずわ → わかばだい → いけじりおおはし → しもやまぐち → ちとせからすやま → ますお → おおもりまち → ちちぶ → ふくい → いずみたまがわ → わいあーるぴーのび → ひがしこいずみ → みなみさくらい → いたくらとうようだいまえ → えそじま → まくはり → りゅうまい → いおぎ → きたみ → みなとちょう → うのき → きざき → きよせ → せんげんだい → いけがみ → みたかだい → いしかわだい → いなぎ → きたかぬま → まちや → やぎさわ → わだまち → ちどりちょう → うんが → かすかべ → へいわじま → まつばらだんち → ちばちゅうおう → うめじま → まくはりほんごう → うめやしき → きくな → ながぬま → まちだ → たかさか → かすみがせき → きたおおみや → やぎゅう → うらが →
74駅目
合戦場   っせん  (東武鉄道日光線 / TN13 / 栃木県栃木市)
合戦場駅舎 合戦場駅名標 合戦場


 対向式のホームには、延長した跡と通路を埋めた跡がしっかりと残っている。区間快速設定時に改良したのだろうか。駅舎も比較的真新しいのだが、プレハブ同然の簡易建築でこちらはいただけない。傍らの公衆トイレの方がよほど立派だ。駅前広場は比較的大きく、工場や飲み屋が目に付く。家紋の付いた門柱や蔵のあるお屋敷もあり、なかなか大きな集落のようだ。

 それにしても変わった駅名で由来が気になる所だが、周囲には観光案内らしきものが何もない。郵便局に「ここは日光例幣使街道の合戦場宿です」と書いてあったのが唯一の発見だが、宿場である事は分かってもその由緒までは見当がつかない。電信柱には「都賀町合戦場」とあり、現代の地名としてすっかり定着してしまっている。「合戦場クリニック」なる医者もあるようだが、名前だけだと野戦病院のようだ。

 パスモの使えない裏口側に回ると、正面側と同じ企業の工場のほか、大木に囲まれた神社が目に付く。「講和記念」と書かれた碑があり、見れば建立は昭和27年1月である。これも既に「歴史」なのかもしれない。


75駅目の選択
駅名 会社 路線
拝島 西武 拝島線
萩山 西武 拝島線 他
狭間 京王 高尾線
蓮沼 東急 池上線
幡ヶ谷 京王 京王新線
旗の台 東急 大井町線 他


 この期に及んで初登場の「は」。ここでこの顔触れかよ、と突っ込まずにはいられない。あれほど良く出る東武が1つもないばかりか、6つ全てが東京都内である。新宿・渋谷辺りでコレなら万歳三唱だが、現在地は嗚呼、栃木県である。一番近いのは新宿から2つ目の5。23区内の4・6辺りまででどうにか抑えたい所だ。


サイコロ1  → 1 拝島


 多摩。紛う事無く多摩だ。行くしかない。


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
合戦場 → 新大平下 東武日光線 区間快速 浅草 12:56 13:14
新大平下 → 春日部 東武日光線 他 区間快速 浅草 13:40 14:27
春日部 → 新越谷 東武スカイツリーライン 急行 中央林間 14:29 14:43
南越谷 → 西国分寺 JR武蔵野線 各駅停車 府中本町 14:49 15:29
西国分寺 → 立川 JR中央線 快速 高尾 15:36 15:42
立川 → 拝島 JR青梅線 青梅特快 青梅 15:47 15:58


 上りホームには、区間快速到着の10分も前からお客さんが6人も待っている。この企画では南栗橋以北のローカル駅に随分乗り降りしたが、こうもまとまった利用があるのは珍しい。

 6050系のボックスシートに腰を下ろし、ささやかながら旅気分に浸る…はずだったのだが、新栃木を発車すると加速中に衝動を感じた。乱暴な運転だな、と首をかしげていると高架駅の栃木へ駆け上がる途中で「停電のため一旦停止します」と放送が入った。室内灯は全て点いており、電車もまだ動いているが異様な前後動を繰り返している。客車列車のように、無理に引っ張られている感じだ。この電車は2両編成を3本繋いだ6連だが、どれか1編成モーターが死亡しているのではないか。

 とうとう電車は上り坂の途中でゆっくり停車してしまった。いささか慌てた声で車掌が「饋電線停電のため点検します」と告げる。数分後、「新大平下(2つ先)にて車両点検します」と放送があって運転再開。「停電によりブレーキが故障し煙が上がった」との説明がある。僕が乗っている車両はクハだが、試しに隣の車両に行ってみてもモーター音は聞こえない。故障にせよ運転士が操作したにせよ、ユニットカットされている事は間違いなさそうだ。

 放送が二転三転したので原因はイマイチよく分からないが、加速中に瞬時停電があって送電が停止、モーターに負荷がかかって遮断、空気制動が一気に作動し(しかし急ブレーキがかかった印象は無かった)摩擦で煙が上がった、という顛末なのだろうか。勿論、断定するには情報と知識が乏しすぎる。「ブレーキが故障」した状態で走っているのは怖いなあ、と懸念しているとはたして新大平下到着直後、「降りて頂く事となりました」とアナウンス。決して狭くないホームが乗客で埋まった。時刻は13:14。

 13:22、所定では16分発の普通列車南栗橋行が30000系4両で入ってきた。区間快速から降ろされた客がどっと乗り込むが、車掌は「20分頃区間快速が来ます(既に20分を過ぎているのに)。」とアナウンスし、ホームに戻る人も出始めた。駅構内は大わらわである。詰め寄る乗客に駅員は「区間快速は20〜30分後に来ます。」と車掌と異なる説明をしている。助役はその駅員を怒鳴りつけ、ホームを右往左往する客を尻目に赤旗を上げ南栗橋行を出してしまった。いつの間にか駅員の姿は消え、スピーカーから「13時30分頃、臨時の区間快速が新栃木を発車します。」と案内が流れてようやく場は落ち着いた。「車両の整備さぼっているんだよ。まあ東武はこんなもんだ。」と隣のオッサンが毒づいている。そうかもしれないが、送電故障なら東京電力のせいかもしれず、東武だけを責めるわけにもいくまい。

 13:39、臨時区間快速が6050系6両編成の空車で到着。残っていた客を乗せてすぐに発車する。栗橋通過時にJRホームを見れば、大荷物の客が随分居る。先行の普通列車に乗ったが、南栗橋などと言う聞き馴染みのない駅で降ろされる位ならJRで、と乗り換えた人達だろうか。南栗橋駅の場内信号でしばらく停車、その後もスピードは乗らない。このまま曳舟辺りまで続行運転かなと思っていると、杉戸高野台で先行列車を追い抜いた。東武動物公園では伊勢崎線からの特急「りょうもう」と並んでしまったが特急が先発する。

 37分遅れで春日部には到着し、ここで下車。すぐにやって来た急行に乗り移る。接続次第では新大平下を先発した普通列車からの乗継客がいるかと期待したが、それらしき姿は見当たらない。この急行、ホームでは長津田行と放送していたが電車の表示は中央林間行である。齟齬について何も説明はなく良く分からないが、どのみち新越谷で降りてしまうので関係は無い。

 武蔵野線の電車は何度か乗客が大きく入れ替わり、トンネルを繰り返すようになると西国分寺に到着する。武蔵野線・中央線とも対向式ホームで相互に階段が直接繋がっており、動線が短い良く出来た構造である。中央線ホーム脇には所狭しと駅ナカが出店していて、西側の購買力の強さを感じる。高架に上がると国立で、駅前の並木がよく見えるが、木立の上からぽつぽつマンションが顔を出しており邪魔な事この上ない。立川で降りると、ホームには「スーパーあずさ」「ホリデー快速富士山」「お座敷列車宴」など様々な列車の乗車位置目標がずらりと賑やかに並んでいる。青梅特快に乗り換え、LCD画面のこまごまとした路線図を凝視していると拝島に到着。いやはや、遠かった。


あいおい → いけのうえ → えだ → だいじんぐうした → だいやむこう → うえの → のうけんだい → いくた → だいたばし → しばさき → きたいけぶくろ → ろくごうどて → てんのうちょう → うすい → いずみ → みずほだい → いえなか → かぞ → ぞうしき → きたかすかべ → へみ → みなみくりはし → しいなまち → ちとせふなばし → しずわ → わかばだい → いけじりおおはし → しもやまぐち → ちとせからすやま → ますお → おおもりまち → ちちぶ → ふくい → いずみたまがわ → わいあーるぴーのび → ひがしこいずみ → みなみさくらい → いたくらとうようだいまえ → えそじま → まくはり → りゅうまい → いおぎ → きたみ → みなとちょう → うのき → きざき → きよせ → せんげんだい → いけがみ → みたかだい → いしかわだい → いなぎ → きたかぬま → まちや → やぎさわ → わだまち → ちどりちょう → うんが → かすかべ → へいわじま → まつばらだんち → ちばちゅうおう → うめじま → まくはりほんごう → うめやしき → きくな → ながぬま → まちだ → たかさか → かすみがせき → きたおおみや → やぎゅう → うらが → かっせんば →
75駅目
拝島   いじ  (西武鉄道拝島線 / SS36 / 東京都昭島市)
拝島駅舎 拝島駅名標 拝島


 JRの3路線と西武が結節するターミナルで、当然通った事も乗り換えた事もあるのだが、ずいぶん長い間来ていない気がする。自分の記憶にあった頃の拝島からは車両がすっかり代替わりしている(特にJR)し、駅舎も建て替えられている。大きなガラス窓を介して、木々の緑がコンコースに飛び込んでくる。いかにも奥多摩の入口、といった風情だ。

 南口へ降りると駅前広場は無く、往来に沿って居酒屋や塾といった物件が並んでいる。このせせこましい感じはかすかな記憶の通りで、徒歩15分の距離には酒蔵があるとの案内も出され、やはり東京と言うよりは地方のイメージが濃い。もっとも、駅の正面には大規模な建設現場があり、完成すればイメージはまた一新されるのかもしれない。

 コンコースに戻ると、掲げられた注意書きが昭島・福生の2市連名になっている事に気付く。北口側は福生市で、駅前を貨物線が横切っているのはいかにも基地の町らしかった。


76駅目の選択
駅名 会社 路線


馬込沢 東武 野田線


馬堀海岸 京急 本線


 第14回で2度出て以来の「ま」。ついに二択となった。馬堀海岸なら即ゴール、残り1つも「わ」終わりだから、先の見えてくる選択肢である。どちらも着く頃には日が暮れそうだが、、片方は自宅から遠く、もう片方はほぼ帰り道の途上だからどちらが出ても行ってしまおう。


サイコロ3  → 3 馬込沢


 即終了とはならなかったが、まあいいだろう。千葉に帰ろう。


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
拝島 → 小平 西武拝島線 各停 西武新宿 16:49 17:09
小平 → 高田馬場 西武新宿線 急行 西武新宿 17:12 17:35
高田馬場 → 飯田橋 東京メトロ東西線 各駅停車 西船橋 17:40 17:48
飯田橋 → 錦糸町 JR中央線 他 各駅停車 千葉 17:51 18:02
錦糸町 → 船橋 JR総武線 快速 上総一ノ宮 18:06 18:23
船橋 → 馬込沢 東武野田線 普通 18:27 18:35


 西武線のホームへ降りると、隣に八高線の黄緑帯の電車が止まっている。一見山手線のような印象を持つが、よく見れば4両で、都心からは一線を退いた209系だ。一方こちらは非VVVF車の新2000系で、変わったと言いつつもやはりどこか古さが漂う拝島駅の光景である。

 畑の中を進み、左へ急カーブを切ると国分寺線に合流して小川に到着。2面4線のホームは方面別に分かれていて、乗り換え客の利便を図っている。続いて右へ曲がりつつ高架線に上がり、しかしすぐ下るとブリジストンの工場の中を通過して萩山。多摩湖線との乗り換え駅だが2面3線のホームはバラバラに使われているような格好で、運転方法がイマイチよく分からない。さらにカーブを繰り返せば新宿線と合流し小平で、この辺りの配線は実際乗ってみても分かり辛い。

 今日の新宿線は不思議なくらい6000系や20000系を見かけず、車内の子供から「また黄色だ!」などと声が上がっている。中吊りには南入曽車両基地とライオンズ戦のイベント告知が仲良く揺れている。高田馬場に到着すると、発車メロディはなぜか「マルコメ味噌」。コンコースにプールの匂いが漂っているが、まさかとしまえんの広告から漂ってきている訳ではないだろう(あの遊園地ならやりかねない)。

 東西線を挟んで総武線に乗り換えると、帰宅の波に当たり駅毎に混んできた。スカイツリーに西日がぎらりと当たっている。船橋で東武に乗り換えれば、3つ目が馬込沢だ。


あいおい → いけのうえ → えだ → だいじんぐうした → だいやむこう → うえの → のうけんだい → いくた → だいたばし → しばさき → きたいけぶくろ → ろくごうどて → てんのうちょう → うすい → いずみ → みずほだい → いえなか → かぞ → ぞうしき → きたかすかべ → へみ → みなみくりはし → しいなまち → ちとせふなばし → しずわ → わかばだい → いけじりおおはし → しもやまぐち → ちとせからすやま → ますお → おおもりまち → ちちぶ → ふくい → いずみたまがわ → わいあーるぴーのび → ひがしこいずみ → みなみさくらい → いたくらとうようだいまえ → えそじま → まくはり → りゅうまい → いおぎ → きたみ → みなとちょう → うのき → きざき → きよせ → せんげんだい → いけがみ → みたかだい → いしかわだい → いなぎ → きたかぬま → まちや → やぎさわ → わだまち → ちどりちょう → うんが → かすかべ → へいわじま → まつばらだんち → ちばちゅうおう → うめじま → まくはりほんごう → うめやしき → きくな → ながぬま → まちだ → たかさか → かすみがせき → きたおおみや → やぎゅう → うらが → かっせんば → はいじま →
76駅目
馬込沢   ごめざ  (東武鉄道野田線 / TD32 / 千葉県船橋市)
馬込沢駅舎 馬込沢駅名標 馬込沢


 ホームは地平だが、改札口は階段を降りた地下にある。京王線辺りで良く見かけるようなつくりをしている。すぐ隣、駅直結と言って良い位置にサミットが建っており、新鎌ヶ谷以南の野田線では比較的大きな駅のように思える。もっとも、辺りは繁華街と言うより閑静な住宅街で、サミットの搬入口にはカーラジオは消すよう注意書きが掲げられている。

 拝島は2市の境目に位置していたが、馬込沢付近の行政区分はさらに複雑だ。駅自体は船橋市だが、サミット裏の橋に取り付けられた「川をきれいに」の看板は鎌ヶ谷市のものである。この川から駐車場、美容室、炭火焼肉店と3件挟んだ場所には「ひったくりに注意」の看板があるが、これは船橋警察署のもの。駅とひったくりの間、川の両岸だけが鎌ヶ谷市なのである。ひったくり以北の船橋市は、本体と接していない飛び地だ。ちなみに、「馬込沢」は鎌ヶ谷側の地名らしい。

 どこからか祭囃子が聞こえてきた。船橋のお祭りだろうか、鎌ヶ谷のお祭りだろうか。


77駅目の選択
駅名 会社 路線
若葉 東武 東上本線
和光市 東武 東上本線
鷲宮 東武 伊勢崎線
渡瀬 東武 佐野線
ゴール





 「わ」もついに残り6つを切った。さて、今回こそゴールできるだろうか。南無三、とサイコロを振るが、6が出たのでやり直し。


サイコロ5  → 5 ゴール


 出た!!


利用区間 路線 種別 行先 発時刻 着時刻
馬込沢 → 船橋 東武野田線 普通 船橋 19:06 19:04


 先ほどのようなダイヤ乱れがなければ(苦笑)、ゴール駅には20時には着ける。だが今日はもういいだろう。いったん帰宅して、改めて出直そう。

 それにしてもこの企画、とうとう終わるかあ…。そんな感慨にさほど浸る間もなく、電車は船橋駅に滑り込んだ。


(つづく)

2015.5.14
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